『叱られて』1999年 ソフトグランド・エッチング、グワッシュ / 紙 20×16cm  ©️Yoko Yamamoto


Artist's Notes:
この曲を聞くと、どうしても、夜遅く、電柱の電球が灯った頃というイメージがある。叱られて、泣きながら薄暗い道を歩いている少女が思い浮かぶ。だから、♪しかられて しかられて(左)の音符は涙の形。8分音符と4分音符は黒い涙、2分音符はブルーの涙だ。下段の♪ゆうべさみしいむらはずれ(右)では、8分音符と4分音符を黒い星、2分音符を黄色い星にして、チカチカ星がまたたいているような感じにした。♪コンときつねがなきゃせぬか で出てきて、天を仰いで鳴いている狐は、ルーカスがモデル。この「コン」という言葉が、心にしみる。

     


押し入れからの脱出に慣れてきた。叱られても、恐くなくなったのだった。
そんな時、叱られた後「出て
いきなさい」と言われ、家から閉め出しをくらった。
扉も窓にも鍵がかけられていて、中にいれてくれと叫んでも返事がないのが恐かった。
誰もいなくなったようにシーンとした部屋をのぞいた。
今から考えると、不思議なことにカーテンに少し隙間があった。
外が暗くなってくると、電気がついて、祖母や母の姿が見える。
ガラス戸をトントンとたたいてもこちらを見てくれない。

そして、家族の夕食がはじまる。空腹と恐怖。家の中に入れないことより、忘れられたことが怖かった。
疎外感という孤独に震えた。またしても、妹が助けに来てくれたのだった。
あまりの恐さに何をして叱られたのか、忘れてしまっていたのだけれど。


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