TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜詩画集プラテーロとわたし〜
8 『春』
©Yoko Yamamoto
朝のまどろみのとき。
小鳥たちの自由なコンサートの様子を詩はとらえています。
「朝がきた!太陽が大地に金と銀の喜びをまき散らす」と波多野さんは訳しています。
そうして「野原は鼓動しわき立ち叫びはじめる、新しい健やかな命」の誕生する春ですね。
8 『春』
©Yoko Yamamoto
朝のまどろみのとき。
小鳥たちの自由なコンサートの様子を詩はとらえています。
「朝がきた!太陽が大地に金と銀の喜びをまき散らす」と波多野さんは訳しています。
そうして「野原は鼓動しわき立ち叫びはじめる、新しい健やかな命」の誕生する春ですね。
7 『戻り道』
©Yoko Yamamoto
ヒメネスのかぶっている帽子は詩の中からイメージして描いたのですが、
波多野さんがこの絵をみた時、驚いた声で「わたしのイメージの中の帽子と一緒!」と発しました。
絵を描く喜びを実感した一瞬でした。
ヒメネスが手に持っているのはアイリス。
あたたかく爽やかな夜がふけゆく中ますます香りは強くなり、それを暗闇の香りとヒメネスはたとえます。
6 『つばめ』
©Yoko Yamamoto
モンテマヨールにやってきたつばめは聖母の絵姿のところに巣をつくりました。
でも、今の地球のように気候変動がおきていたのでしょうか。
オレンジの花がつぼみのまましおれるくらいとても寒くて、
つばめが死んでしまわないかしらとプラテーロは心配しています。
モンテマヨールの聖母は波多野睦美さんに似てしまいました。
5 『お告げの鐘』
©Yoko Yamamoto
海外を旅すると、ある時刻に鐘の音に包まれることがあります。
ヒメネスはその音をバラの花にたとえました。
鐘の音に包まれた時、すべては輪かくを失ない優しくなります。
プラテーロの瞳のように。
4 『エル・ロコ 狂った男』
©Yoko Yamamoto
狂った男ってプラテーロに乗ったヒメネスのこと。
子供たちは奇妙な男がロバに乗っている姿に向ってくりかえし叫びます。エル・ロコ と。
叫びはこだまとなって野原や空にひびき、そして静けさと安らぎがやってくるのです。
声のひびきを描いてみたいと思いました。
3 『夕暮れの遊び』
©Yoko Yamamoto
スペイン語で貧しい少女が歌っています。闇をぬって流れる水晶の糸のような声で。
仲間にきかせているのでお姫さま気どりだとか。
「プラテーロとわたし」のCDには波多野睦美さんの歌う澄んだ声が流れます。
2 『白い蝶』
©Yoko Yamamoto
夜がきました。紫色の靄がかかっています。緑と藤色の光が教会の塔のむこうに漂っています。
一日の疲れを感じる時。でも詩心である白い蝶は、胸一杯につまっていることでしょう。
1 『プラテーロ』
©Yoko Yamamoto
プラテーロは、詩人ヒメネスの相棒のロバ。彼がプラテーロと呼ぶと駆けよってきます。
小さな子供のように甘えん坊ですが、芯は強くて鋼のよう。そして月のような銀の色をしています。
詩と音楽を包みこむ銅版画
刈谷政則 (編集者)
ノーベル文学賞を受賞したフアン・ラモン・ヒメネス(1881-1958)というスペインの詩人をご存知でしょうか。彼の代表作、ロバと詩人の感動的なエレジー『プラテーロとわたし』は世界中で愛されている散文詩集です。このすぐれた音楽性と豊かな色彩にあふれた作品には、イタリア生まれの作曲家カステルヌオーヴォ=テデスコが作曲したギターと朗読のための28曲があります。それが今回の企画の出発点でした。
メゾソプラノ歌手・波多野睦美さんの〈音楽に合わせた朗読〉にふさわしい斬新な日本語訳、そして、その世界を包みこむような山本容子さんの銅版画。容子さんは今回の仕事についてこう書いています――「大萩康司さんのギターの演奏と波多野睦美さんの朗読を聴きながら、銅版をオレンジ色の絵の具を塗布したキャンバスに刷った。オレンジ色のベースは、ヒメネスとプラテーロの素肌のあたたかさと、太陽があたためた大地の色、信頼関係の色。・・・・・・(詩人とロバが)時空を飛び越えた」。
こうして〈詩と音楽と絵〉が一体になった素晴らしい詩画集が生まれました。