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12月の記事一覧

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

December 31.2020

おこちゃんと年末のごあいさつ


©️Yoko Yamamoto


「おこちゃん」とおつき合いありがとうございました。
タイミングよく2020年12月31日にこの連載が終了しました。ビックリです。
コロナ禍の中はじめたこの連載が、大晦日にピタリと合って最終ページを迎えたからです。
絵本の表紙裏のこの絵は「またねー。元気でねー。」のおこちゃんの声です。
昭和30年から令和3年の約
70年がヒトットビー。でも心の中はまだ昭和を懐かしんでいます。
いつも元気なおこちゃんとあったか家族のなつかしい日々は、
少し心が弱くなった時に、ヒョッコリ顔を出します。
そして、心をやさしくしてくれます。

年末は、毎年そうしているように、蓮根の穴をのぞき、
黒豆にシワが出きていないかドキドキして鍋の蓋をとったり、
数の子の塩加減に慎重になったりしています。
お節料理を作っている時間は、先祖との対話の時なのです。
ひとりきりの楽しみも、こんなところに隠れています。

繰り返しほほ笑みを与えてくれるこのような時間を大切にしながら、
勇気をもって進める未来をつくっていきたいものです。
皆さんお元気でお過し下さい。
そして、良い年を迎えましょう。

山本容子
Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

December 24.2020


15 『じどうしゃすきなのね


©️Yoko Yamamoto


今日はクリスマスイヴ。「真っ赤なお鼻のトナカイさん」を口ずさむ。
「真っ赤なお鼻のトナカイさんは いつも皆の笑い者」
私の鼻のテッペンには小鼻から小鼻にかけて1cm位のキズがある。
このキズは中学生位まで鼻先に色の変化をもたらした。

小学3年の時、関西から東京に転校した時、関東の冬の寒さを楽しんで霜柱観察や
足で踏んでこわす遊びをしていたら、友だちが「あっ鼻の色が変わってる。青いよ。」と言った。
それから気にして鏡をのぞくようになったのだった。

このキズは4歳の時「父が叔父に車の運転を教えている時、
近所の壁にぶつかってフロントガラスが割れてそのガラスで鼻を切った」
と、父から家族に報告された。
その時父の腕に抱かれていた私は、鼻のバンソウコウを指差しながら
「おこちゃんおはなとれちゃったの」と言ったと聞いた。
この言葉を聞いて、家族は全員青い顔になったらしい。

こうして「青い鼻とキズ」は高校生位まで心のちょっとしたキズになっていたが、
鼻がくっつく時ラッキーにも少し上向きについたのか、大人の私は、
少しツンとしたキズのある上向きの鼻が好きだ。
真っ赤なお鼻のトナカイさんの鼻も、光ることによって夜道を照らしサンタの役にたった。
ケガの功名と考える。

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Posted by: lucas

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December 17.2020


14 『うみがすきなのね


©️Yoko Yamamoto


大阪堺市の大浜の海辺は、大好きな場所。そこで遊ぶわたしたち子供の姿は、アルバムに貼られている。
水着とゴムのキャップをかぶって浮き輪を腰にまいた姿はもちろんのこと、春や秋や冬の姿まで記録されている。
ワカメや桜貝をとったり、砂の城を作ったり、想像力がバクハツしていた。そして海を見ているのも好きだった。

海は季節や時間帯で変化する。波の高さや色!
砂浜で絵を描いたこともあったけど、家の中で絵を描くのが楽しかった。
思い出しながら描くと自由になれたから。
スケッチブックにピンク色の絵具をバーッとぬって、「海だー」といったら、大人がビックリしたのも覚えている。

その海水浴場は、小学二年の時、姿を消した。
「もう海に行ってはいけません」「埋め立てをします」
そして立派な臨海工業地帯が生まれ、私は海をなくした。
遊びが出来ないという理不尽をはじめて体験した。
こうして強い大人になってゆく。

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Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

December 10.2020


13 『テレビがすきなのね


©️Yoko Yamamoto


応接間にはテレビが座っていた。
使っていない時は美しい布がかけられ、それを上げると観音開きのドアが開く。そしてテレビが出てくる。
午後になると近所の方々も少し集まってきて試合観戦となった。
相撲とレスリングの時は部屋は熱気を帯びていた。
皆テレビに向って声をかけたり、拍手をしたり、一体感がすごかった。
家族も集まるのでとても好きな時間だった。
ヒーローは若乃花と力道山。ライバルは胸毛の濃い朝汐と頭をかじるブラッシーだったかな。
この興奮した時間を過したおかげで、わたしはまたひとつ自分の芸を身につけたのだった。

力道山のユニフォームの黒いタイツをはいて、
その上から浴衣の帯にヒモを結んでもらい、若乃花のまわしを身につけた。
最強の出立ちを考えたわけだ。
当然上半身は裸んぼうなので、皆さんは笑ってくれたが、わたしがおんなの子なので、失笑だったのだと思う。
空手チョップをしながら相撲のまねをするおてんばなおんなの子の証明をした。

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Posted by: lucas

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December 03.2020


12 『さくらがいがすきなのね


©️Yoko Yamamoto


砂浜を散歩していてさくらがいを見つけると、とたんに5歳のわたしがでてくる。
色も形も薄くて透明なさくらいろ。そーっと指でつまんで集めていた。
大好きだったが、わたしを殺そうとしたさくらがい。

子供の頃のおたのしみは、「不思議」に出会える手品だった。
大人は皆手品を知っていて、ゲームをしてくれた。
父は洋室にいてテーブルの上のさくらがいを見ると両手をひろげ、てのひらにひとつ、さくらがいをのせた。
さあはじまるぞ。ゲンコツをふたつつくって「どっち、どっち」といいながらさくらがいを移動させる。
にらんでみているのだが、「こっち」とえらんでも当たらないことが多くて、何度もゲームを繰り返した。
どこかに隠したにちがいないと、父のそばをさがしているうちに、
もうひとつのてのひらから「こっちだよ」とさくらがいが出てくるので頭にきた。
そして今度はわたしが手品をするといって父と同じ動作をしながら、
わたしはさくらがいの移動の時、ひょいと口の中に入れた。
口の中に隠すのがわたしのアイデアだった。

ところが、勢いよく息を吸って口にいれたさくらがいは、そのままのどにはりついた!
ゲーゲーと苦しむわたしを見て、父はヒザにわたしのおなかを当てて、ゆびを口の中につっこんだという。
さくらがいは口の中を切って血と一緒に外へ出てきた。
金魚みたいにプワーッと息を吸った時のことは忘れない。
絶対にバレない隠し場所だったのに。
手品はものすごくおこられて、そして失敗に終わった。

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Posted by: lucas



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