『月の砂漠』1999年 ソフトグランド・エッチング、グワッシュ / 紙 20×16cm  ©️Yoko Yamamoto


Artist's Notes:
沙漠という茫漠とした風景をイメージしようとすると、まず私の脳裡に浮かぶのは、映画『アラビアのロレンス』(1962)だ。ブルーのオアシスには、イスラム風の幾何学模様を描き込んでみた。タイトル文字は「月の沙漠」だから月(※左)にした。駱駝(らくだ)には、かつてパキスタンのカラチへ行った折、アラビア海の海べりで乗ったことがある。その時、初めて駱駝の移動のスピードを知った。とても脚が長いから、一歩の歩幅も大きい。わずか一歩で、馬と比べると倍ぐらい前進するのだ。その駱駝に乗った時の体感速度(※右)も、この絵の中で表現している。

   


砂漠。思い出すのは「モロッコ」と「星の王子様」。
モロッコのフェズの旧市街。千の迷路を歩き廻ったことがあった。
ロバはタクシー、ラバはベンツと呼ばれ、荷物を運ぶ仕事をしていた。

車は通れない細い迷路でベルベル人の男性に会った。
砂漠の民の真青な瞳。その時星の王子様が言った言葉を思い出した。
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」



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