『かなりや』1999年 ソフトグランド・エッチング、グワッシュ / 紙 20×16cm  ©️Yoko Yamamoto


Artist's Notes:
小さい頃から歌うたびに涙があふれ、ひどいと怒っていた。「唄を忘れた」だけなのに、かなりやを「後(うしろ)の山に棄て」たり「背戸(せど)の小薮に埋め」たり、果ては「柳の鞭でぶちましょか」とは。私のいちばん嫌いな歌だ。2度目の♪うーたをわすれたかなりやは(※左)の音符を描いた時、悲しげな、にらんでいるような鳥の目と眉毛に見えたので、そのまま目にした。付点8分音符の点がほくろのようでもある。♪やなぎのむーちでぶちましょか(※右)では、鳥たちが柳のような鞭の上に乗っているが、ここに描かれた鳥たちは、いずれにしても楽しそうな顔はしていない。

   


井上陽水さんの曲は全曲歌える。青春の歌。
「青空、ひとりきり」はイントロのギターが響いたとたん、
くろんど池の上に広がっていた青空が見える。
浪人生の孤独と決意を思い出す。

一番好きな曲は「カナリヤ」だけど、聴くと胸が傷んでせつなく苦しい。
でも繰り返し口づさむ。
「カナリア、カナリア、カナリア、カナリア、カナリア、カナリア」
カナリアは私かもしれない。
初恋に破れた気持ちと、子供の頃に歌いながら泣いてしまった気分がよみがえる。



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