『おこちゃん』
著者:山本容子
本体価格:1,460円(税別)
小学館 1996年発行
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はじめに


「おこちゃん」(小学館 1996年)は、私の子供時代の本当のお話を絵本にしたものです。
昭和30年代はじめの頃のこと。連載3回目はこの本をとりあげます。
withコロナの時代、当初は驚いてばかりいました。
恐怖も味わいながら、少しずつ生活が変化しています。
そんな中、子供時代を思い出す機会が増えていることに気がつきました。
大家族に教えてもらった知恵を頼りにしている自分を再発見しています。
絵と共に生きる勇気を与えてくれる驚きを見つけましょう。

はじめに、「子ども力がいっぱい」(光村図書 2008年)
—河合隼雄が聞く、あなたが子どもだったころ— に収録されている
私へのインタビュー対談から、河合さんがインタビューを終えて書いて下さった
文章の冒頭を引用させていただきます。(P.32)



驚きのない人生というのは、実につまらないと思う。
山本さんの人生は「びっくり」に満ちている。
そして、ひとつひとつのびっくりのなかに、山本さんの個性が輝いているのだ。
びっくりのなかから個性が生まれ、個性がびっくりを生み出している。


山本さんが子どものときから、これほどのびっくりを享受できたのは、
やはり家族の力が大きいと思う。大家族のもつ懐の深さと多様さが、
山本さんの生み出す「びっくり」を見事に消化してゆく。
ここで家族の容量が少しでも小さいと、びっくり児はただちに
「問題児」に転落させられることを知っていなくてはならない。


今回のおこちゃんの連載は毎週木曜日にUPする予定です。
そろそろ外出仕事もふえてきました。
展覧会や講演会、学校や会議、そしてコンサートなどで
お目にかかれる機会が戻ってきました。
withコロナは忘れずに、でも会った時は元気にあいさつしましょうね。
山本容子