TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜詩画集プラテーロとわたし〜
22 『ジプシーたち』
©Yoko Yamamoto
この詩のはじまり。大萩さんのギターは力強いジプシーのロマ音楽の拍子を奏でる。
その音に乗って歩くたくましい女性。
冬の「赤銅色の陽の光の中」町の中心へと道を降りてくる女性。
その存在の強さを引き立てているのは、
静かにジプシーの女性の到来をかぎつけているプラテーロ。
22 『ジプシーたち』
©Yoko Yamamoto
この詩のはじまり。大萩さんのギターは力強いジプシーのロマ音楽の拍子を奏でる。
その音に乗って歩くたくましい女性。
冬の「赤銅色の陽の光の中」町の中心へと道を降りてくる女性。
その存在の強さを引き立てているのは、
静かにジプシーの女性の到来をかぎつけているプラテーロ。
21 『十一月の田園詩』
©Yoko Yamamoto
たそがれ時、プラテーロは背に松の枝をふわりと積んで野原から戻ってくる。
「規則正しい歩調」「繊細で軽やかな歩調」「謙虚で穏やかなロバ」の神聖な姿を描く。
左のプラテーロ
切り抜き銅版の四つの足の凸凹したカタチで歩調を表現してみる。
右のプラテーロ
額から鼻先へ続くラインが地面へと続いてゆく。
張子人形の首の運動を思い出して、穏やかさを持ったラインで
包まれるプラテーロを描いてみた。
20 『カナリアが死んだ』
©Yoko Yamamoto
「黄色いアイリスの萎んだ花びら」のようになって、
銀の鳥籠の中で死んでいたカナリア。
九月のこと。子供たちが世話をしていたカナリア。
満月の夜だ。庭の土に埋めてあげよう。皆で。
カナリアは死んだ。ただそれだけなんだ。
私も死んだ鳥を掌にのせた記憶があります。
でも、あまりの軽さに驚き特別な気持ちになりました。
19 『月』
©Yoko Yamamoto
「ゆっくりぼんやりと戻ってきた」プラテーロ。
桶にうつりこんだ星と一緒に二杯も水をのんだあとに。
九月のなまあたたかい香りのする月の下。
月を見上げたプラテーロは耳を片方づつふった。
絵からその固く小さな音が聞こえたらよいのだけれど。
18 『日曜日』
©Yoko Yamamoto
町に鐘が鳴る。遠くに次の鐘が鳴る。音は重奏をするけれど
「鐘と鐘の間の静けさ」もあり、そこに「九月の朝の隠れていた姿」がみえる。
スズメバチが飛び回り、蝶は舞っている。
静けさに包まれた時にだけ聴くことができる羽音。
食べるのをやめたプラテーロと読むのを止めたヒメネスが、
ときにみつめあうスローな動き。銅板を葉草雲型に切ってみた。
17 『すずめ』
©Yoko Yamamoto
「灰色と白に曇っている。綿でくるまれたような祝日の朝」
「丸い雲が時折小さな滴を降らせる」
まずこのような天候をイメージすること。
そしてそんな空間を「旅するすずめたち」は「楽しげに小粋にまくしたてる」
曇り空のおかげですべての色彩は鮮やかさを増す。
一粒の水滴が捉えたヒメネスとプラテーロは風景に溶け込む。
16 『井戸』
©Yoko Yamamoto
この詩の朗読に胸は鷲掴みにされます。
井戸(ポーソ)!と呼びかけてポーソ!という響きを楽しむ。
言葉なのに「ひんやりして深緑色をしている」と言い、
「言葉そのものが回転しながら暗い地面を貫くようだ」と言葉にする。
ヒメネスはプラテーロに
「もしある日わたしがこの井戸に身を投げても自殺ではない。星をすばやくつかまえるためさ」と話す。
無花果の木の下の井戸。静かな迷宮。
15 『道端の花』
©Yoko Yamamoto
「純粋な花」を描くこと。
自分の場所でまっすぐにたたずんでいる花。
道端に咲く花のそばを牛、馬、人々が通ってゆく。
「花の命はほんの数日。でもその記憶は永遠に残る」
ありのままの花。
銅板にプラテーロの足を切りぬいてみました。
あらわれたのは純粋なプラテーロ。
14 『ロンサール』
©Yoko Yamamoto
楽符の実る木とその木陰で読書するヒメネスとプラテーロ。
ヒメネスの靴と本とプラテーロの耳はイメージの外にちょっと出ています。
こうすることで、二人が一緒にロンサールの詩に集中して浸っている
そのイメージの世界が描けました。
靴と本と耳は現実世界に継がっているからです。
この銅版のカタチは ⑩カナリアが飛んだ の中にすっぽり入りこみます。
13 『結核の娘』
©Yoko Yamamoto
娘を乗せて歩きはじめるプラテーロ。
まず、二人のシルエットを銅版に切りぬいた。
次に、その銅版に娘とプラテーロをエッチングしたが、
歩く速度を表現したかったので、娘は後方に頭をそらし、
プラテーロは少し頭を下げた。
二人は静かに町を横切ってゆく。
二人を包みこむのは町のシルエット。遠くのカタチ。