詩と音楽を包みこむ銅版画

刈谷政則 (編集者)

   ノーベル文学賞を受賞したフアン・ラモン・ヒメネス(1881-1958)というスペインの詩人をご存知でしょうか。彼の代表作、ロバと詩人の感動的なエレジー『プラテーロとわたし』は世界中で愛されている散文詩集です。このすぐれた音楽性と豊かな色彩にあふれた作品には、イタリア生まれの作曲家カステルヌオーヴォ=テデスコが作曲したギターと朗読のための28曲があります。それが今回の企画の出発点でした。
   メゾソプラノ歌手・波多野睦美さんの〈音楽に合わせた朗読〉にふさわしい斬新な日本語訳、そして、その世界を包みこむような山本容子さんの銅版画。容子さんは今回の仕事についてこう書いています――「大萩康司さんのギターの演奏と波多野睦美さんの朗読を聴きながら、銅版をオレンジ色の絵の具を塗布したキャンバスに刷った。オレンジ色のベースは、ヒメネスとプラテーロの素肌のあたたかさと、太陽があたためた大地の色、信頼関係の色。・・・・・・(詩人とロバが)時空を飛び越えた」。
   こうして〈詩と音楽と絵〉が一体になった素晴らしい詩画集が生まれました。

新刊書籍                     
『プラテーロとわたし』                                      
 J. R. ヒメネス=作  波多野睦美=訳        
 山本容子の新作銅版画28点を収録         
 A5変型版上製120ページ             
 本体価格1,700円(税別)              
 理論社
CD
『プラテーロとわたし』
 マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ
 大萩康司(ギター)
 波多野睦美(メゾソプラノ、朗読)
 定価4,545円(税別)MARCO 001/2 
 MARCO CREATORS/キングインターナショナル
 詳細はこちらより