TITLE:【Others】映画 トルーマン・カポーティ 真実のテープ
私が27才の時に追いかけたテーマ、トルーマン・カポーティのドキュメンタリーが全国ロードショーで公開されます。素晴らしい映画です、是非観てください。
カポーティの魅力の秘密は作品群の中に存在している。
彼の孤独が沁み込んだ映画を観て、また本が読みたくなった。(山本容子)
映画公式サイト
私が27才の時に追いかけたテーマ、トルーマン・カポーティのドキュメンタリーが全国ロードショーで公開されます。素晴らしい映画です、是非観てください。
カポーティの魅力の秘密は作品群の中に存在している。
彼の孤独が沁み込んだ映画を観て、また本が読みたくなった。(山本容子)
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山本容子展『詩画集 プラテーロとわたし』刊行記念
-物語に出会いを求めて-
会期:2020年11月13日(金)~19日(木)
営業時間:11:00〜20:00(最終日は17:00閉場)
会場:丸善京都本店 B2F MARUZENギャラリー
京都府京都市中京区河原町通三条下ル山崎町251 京都BAL B1-B2F (TEL 075-253-1599)
今展では、キャンバスに銅版で刷った『プラテーロとわたし』の書籍原画全28点をご覧いただくとともに、新作版画、書籍になった版画、関連書籍、CD、グッズ等を販売いたします。是非お出かけくださいますようお待ち申し上げます。
展覧会DM
詩と音楽を包みこむ銅版画
刈谷政則 (編集者)
ノーベル文学賞を受賞したフアン・ラモン・ヒメネス(1881-1958)というスペインの詩人をご存知でしょうか。彼の代表作、ロバと詩人の感動的なエレジー『プラテーロとわたし』は世界中で愛されている散文詩集です。このすぐれた音楽性と豊かな色彩にあふれた作品には、イタリア生まれの作曲家カステルヌオーヴォ=テデスコが作曲したギターと朗読のための28曲があります。それが今回の企画の出発点でした。
メゾソプラノ歌手・波多野睦美さんの〈音楽に合わせた朗読〉にふさわしい斬新な日本語訳、そして、その世界を包みこむような山本容子さんの銅版画。容子さんは今回の仕事についてこう書いています――「大萩康司さんのギターの演奏と波多野睦美さんの朗読を聴きながら、銅版をオレンジ色の絵の具を塗布したキャンバスに刷った。オレンジ色のベースは、ヒメネスとプラテーロの素肌のあたたかさと、太陽があたためた大地の色、信頼関係の色。・・・・・・(詩人とロバが)時空を飛び越えた」。
こうして〈詩と音楽と絵〉が一体になった素晴らしい詩画集が生まれました。
新刊書籍
『プラテーロとわたし』
J. R. ヒメネス=作 波多野睦美=訳
山本容子の新作銅版画28点を収録
A5変型版上製120ページ
本体価格1,700円(税別)
理論社
詳細はこちらより

CD
『プラテーロとわたし』
マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ
大萩康司(ギター)
波多野睦美(メゾソプラノ、朗読)
定価4,545円(税別)MARCO 001/2
MARCO CREATORS/キングインターナショナル
詳細はこちらより

8 『ありさんのぎょうれつがすきなのね。』

©️Yoko Yamamoto
昔、メキシコの美術館で「子供のための展覧会」を見た。
テーマは絵本だったが、展示がおもしろかった。
広くて天井の高い美術館の中に、子供のサイズに縮小した展示室が作られていた。
入り口も廊下も壁面も、子供にはピッタリのサイズ。
だから、彼らが見たい絵は彼らの目線に合っていた。大人は少し腰をかがめて見る。
天井もついていたから私は不思議の国アリスになったように感じた。
たしかに、子供の頃は地面に近い生活をしていた。だから犬とも同類だったのだ。
ありやバッタや石ころや四つ葉のクローバー、そして海では貝殻の美しさにうっとりできたのだった。
その中でも私のお気に入りはありの行列。
どこからどこへゆくのかが知りたくて、ずーっとながめていたことを思い出す。
そのうち行列を作らせたくなって、台所の砂糖壺までの道をつけたら、
いつも台所に立っていたキレイ好きのまさおばあさんは、ひっくりかえった。
エサをあげたのにと不思議な気持ちになった。

7 『チューリップがすきなのね。』

©️Yoko Yamamoto
庭の真中に母のチューリップ畑があった。
母がとても大事にしていたことは、花が咲くと毎日の手入れを鼻歌まじりでしていた事からもわかっていた。
「さいた さいた チューリップのはなが
ならんだ ならんだ あか しろ きいろ」
風にふわりふわり花をゆらしながら立っているチューリップを見ていると、とてもしあわせな気分になった。
大きくなって、母から、私のはじめての言葉がチューリップを見て
「まあチレイ!」という感動の言葉だったと聞いた時も、しあわせな気分は増幅されたのだったが、
と同時に、どうしてそんなに残酷なことをしたのだろうか。という事件を思い出す。
立派に咲いたチューリップを見ながら、同時に枯れた花を切りとる母の姿も見ていたのだった。
そしてやってしまった。
一番キレイなチューリップの花のところをハサミでチョキチョキ切りとったのだ。
「だって茶色くなるのはかわいそう」というのが私の理由だったが、
チューリップの花のところばかり集めてしまったことを見て、母は言葉もでなかったとか。
2年前に出版した「チューリップ畑をつまさきで」という絵本を描いていた時も、
このエピソードが頭の中に見えかくれしていたことを思い出す。
きっと死ぬまで続く「チューリップとわたし」の関係なのね。

6 『おふろがすきなのね。』

©️Yoko Yamamoto
大事件の話です。
おまんじゅう事件のおばあさんはまささんといいます。
キレイ好きなまささんは、おふろがおすきでした。
まずは日本手拭をギュッとかたくしぼり、垢こすりをします。
江戸っ子のまささんの子供の頃からの習慣だったことは後で知り、その健康法に驚きました。
が、痛かったことは憶えています。でも、湯船の中で手拭をつかってあぶくをとじこめる遊びが大好きだったので、
まささんとおふろに入るのが好きでした。しっかりあたたまるまではいっていることが大切だったのでしょう。
湯船にはいろんなものがプカプカ浮いていました。
ある時、気持ちが良くなって湯船でウンチをしてしまったのです。
ウンチもプカリプクリと浮かんでいたそううですが、
おまささんはビックリして早速得意の風呂掃除をしたという事件。
なのですが、この絵本を読んだ子供が、
「おこちゃんのまねをして困っています」という手紙が出版社に届き、
笑い話の手紙の中に本気で怒っている母親からの「このページをカットして下さい!」という
エスカレートした手紙まであって、当時の編集者との相談話は複雑でした。
だって、作者としては、子供に直接私の話が届いた喜びの証となった事件だったからです。
赤ちゃんも満ちたりた気分になった時、お湯の中でウンチをするでしょう。
幸せのバロメータですね、と返事をしました。
2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。
2020年9月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、恩田侑布子さん(俳人)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。

©Yoko Yamamoto
読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2020年10月20日のテーマは「フォークとスプーンのマナー」星野博美さんです。

5 『いけのこいがすきなのね。』

©️Yoko Yamamoto
日本庭園で泳ぐ鯉を見ると、今でもこのシーンがよみがえり、少し恐怖をおぼえる。
美しい魚なのにコワイのだ。
父方の祖父は江戸前鮨を大阪に紹介した人として鮨辞典に載っている。
彼は晩年山荘を建てて造園を趣味としていたと母から聞いた。
幼ない私は父母と一緒にそこで暮らしていたとか。妹が生まれる頃の話。
錦鯉を池に泳がせ、エサをあげる。
おじいさんのそばに座っていた私をよろこばせようとヒザに抱き、エサのバケツを持たせたとたん、
エサは池にバサリと落ちてゆき、コイがエイヤッと飛び出してきた。
お口のおおきさにビックリしてひっくりかえったのだけど、
またう〜んとうなって気を失なったので、おじいさんもヒックリかえった話。
予想もつかないビックリは、色とりどりのコイの色と美しい風景と共に今も心に宿っている。
「食べず嫌い」という言葉があるが、私はコイは食べられません。
今も。このおじいさんもいつも和服でした。

4 『おまんじゅうがすきなのね。』

©️Yoko Yamamoto
父方の祖母登場。
いつも和服を着ているおばあさんはキレイ好きで洗濯、掃除が得意。甘いお菓子が大好きだった。
堺はお茶菓子の名所なので、小豆のこしあんの常用まんじゅうは欠かしたことがなかった。
またこれも不思議な縁だが、堺市に仕事に行くと必ずいただくお土産が「大鏡」という白のこしあんの和菓子で、
私はこれを見たとたんおばあさんの茶卓にワープしたことがあった。
おばあさんはこしあんが好きだったのだ。
なぜ和菓子をこんなに憶えているのだろうか。母に聞くと、母の教育方針がみてとれた。
私達の虫歯予防のために、あんこは御法度だった。という。
チョコレートは常用のお菓子になりがたい時代です。
そんなことをふと忘れたおばあさんは、私の口に白くて小さいおまんじゅうをひとついれてくれた。
はじめて甘いお菓子をたべた私は、おいちいーといってまた気を失ったとか。
後日談の、おぜんざいを友達の家ではじめて食べて母にこう言った。
「お豆のおみそ汁を作って!」と。
おぜんざいの存在も言葉も知らない時代があった。
2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。
2020年8月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、恩田侑布子さん(俳人)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。

©Yoko Yamamoto
読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2020年10月6日のテーマは「現実と仮想、往還のマナー」恩田侑布子さんです。

3 『キューピー人形がすきなのね。』

©️Yoko Yamamoto
いよいよ家族の登場。
私と妹は堺市大浜海岸のそばで育った。
大家族で、親戚がよく集まり、大人達に囲まれて私はともかくおしゃべりで、妹は無口だった。
まずは母方の祖父。奈良に住んでいた彼は洋行帰りのダンディーなおじいさん。
夏の麻のスーツとハット姿が似合っていた。
おばあさんとは蓄音器をかけてダンスを踊っていたと、母から聞かされていた。
2歳の頃、昼寝をしている時に、お土産のキューピー人形を小さいのから一番大きいのまで7個買ってきて、
私が目を覚ますのを待っていたエピソードは有名。
キューピー人形を抱いてねていたら、起きるとたくさんのキューピー人形に囲まれていたので
びっくりしてう〜んと気を失なったとか。
私のはじめてのビックリヒックリかえったお話。
そういえば、はじめて美術館に連れていってくれたのも彼だった。
そして、京都市立美大の門前の画材屋でスケッチブックと絵の具を買ってきてくれた。
美大への道をつけてくれたのかしら。