LUCAS MUSEUM|山本容子美術館 

LUCAS MUSEUM|LUCASMUSEUM.NET|山本容子美術館


INFORMATION

«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 21 | 22 | 23 |...| 111 | 112 | 113 || Next»

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

October 15.2020


5 『いけのこいがすきなのね。』


©️Yoko Yamamoto


日本庭園で泳ぐ鯉を見ると、今でもこのシーンがよみがえり、少し恐怖をおぼえる。
美しい魚なのにコワイのだ。
父方の祖父は江戸前鮨を大阪に紹介した人として鮨辞典に載っている。
彼は晩年山荘を建てて造園を趣味としていたと母から聞いた。
幼ない私は父母と一緒にそこで暮らしていたとか。妹が生まれる頃の話。
錦鯉を池に泳がせ、エサをあげる。
おじいさんのそばに座っていた私をよろこばせようとヒザに抱き、エサのバケツを持たせたとたん、
エサは池にバサリと落ちてゆき、コイがエイヤッと飛び出してきた。
お口のおおきさにビックリしてひっくりかえったのだけど、
またう〜んとうなって気を失なったので、おじいさんもヒックリかえった話。

予想もつかないビックリは、色とりどりのコイの色と美しい風景と共に今も心に宿っている。
「食べず嫌い」という言葉があるが、私はコイは食べられません。
今も。このおじいさんもいつも和服でした。

Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

October 08.2020


4 『おまんじゅうがすきなのね。』


©️Yoko Yamamoto


父方の祖母登場。
いつも和服を着ているおばあさんはキレイ好きで洗濯、掃除が得意。甘いお菓子が大好きだった。
堺はお茶菓子の名所なので、小豆のこしあんの常用まんじゅうは欠かしたことがなかった。
またこれも不思議な縁だが、堺市に仕事に行くと必ずいただくお土産が「大鏡」という白のこしあんの和菓子で、
私はこれを見たとたんおばあさんの茶卓にワープしたことがあった。
おばあさんはこしあんが好きだったのだ。

なぜ和菓子をこんなに憶えているのだろうか。母に聞くと、母の教育方針がみてとれた。
私達の虫歯予防のために、あんこは御法度だった。という。
チョコレートは常用のお菓子になりがたい時代です。
そんなことをふと忘れたおばあさんは、私の口に白くて小さいおまんじゅうをひとついれてくれた。
はじめて甘いお菓子をたべた私は、おいちいーといってまた気を失ったとか。

後日談の、おぜんざいを友達の家ではじめて食べて母にこう言った。
「お豆のおみそ汁を作って!」と。
おぜんざいの存在も言葉も知らない時代があった。

Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Others】読売新聞 夕刊 「たしなみ」挿画

October 06.2020

2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。

2020年8月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、恩田侑布子さん(俳人)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。


©Yoko Yamamoto

読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2020年10月6日のテーマは「現実と仮想、往還のマナー」恩田侑布子さんです。

Category: Others
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

October 01.2020


3 『キューピー人形がすきなのね。』


©️Yoko Yamamoto


いよいよ家族の登場。
私と妹は堺市大浜海岸のそばで育った。
大家族で、親戚がよく集まり、大人達に囲まれて私はともかくおしゃべりで、妹は無口だった。
まずは母方の祖父。奈良に住んでいた彼は洋行帰りのダンディーなおじいさん。
夏の麻のスーツとハット姿が似合っていた。
おばあさんとは蓄音器をかけてダンスを踊っていたと、母から聞かされていた。

2歳の頃、昼寝をしている時に、お土産のキューピー人形を小さいのから一番大きいのまで7個買ってきて、
私が目を覚ますのを待っていたエピソードは有名。
キューピー人形を抱いてねていたら、起きるとたくさんのキューピー人形に囲まれていたので
びっくりしてう〜んと気を失なったとか。
私のはじめてのビックリヒックリかえったお話。

そういえば、はじめて美術館に連れていってくれたのも彼だった。
そして、京都市立美大の門前の画材屋でスケッチブックと絵の具を買ってきてくれた。
美大への道をつけてくれたのかしら。

Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

September 24.2020


2 『こいぬがすきなのね。』


©️Yoko Yamamoto


白黒写真のアルバムには、堺市の大浜海岸で遊ぶ姿が、毎年貼られている。
海と砂場、ここで手に入れるモノは大切な宝物だった。
現在は埋め立てられて、海岸は遊泳場ではなくなった。
今の私は毎年、堺市の依頼で中学生のアートクラブグランプリという
アート作品の審査員としてこの場所に通っている。
この仕事が海浜工業地帯に眠っている子供の頃の記憶を思い出す機会になっているので、
巡り合わせた時間に不思議な思いを抱く。

私にはマーコという妹がいるが、
今は消えさった海の近くの南海野球場の話が出来る少ない話し相手だ。
その球場は、子犬の捨て場所でもあった。
私の遊び相手はスピッツのゴロー。生まれた時からの世話役だった。
夕方、ゴローと海から帰る時、ワンピースのすそを広げて子犬をひろって帰っては、
家族に問題を運んでいた。

絵本の絵を見ると白いスピッツのゴローは、今、横にいる、
ラブラドールのルカにそっくりで、びっくりひっくりかえった。

Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

September 17.2020


1 『びっくりするのが好きなのね』


©️Yoko Yamamoto


「おこちゃん」というのは、幼い私が「ようこ」という名を「よおこ」と覚えて、
自分のことを呼ぶのに「よおこ」は長いので「おこ」ちゃんと言ったことからはじまった呼び名。
だということを母から聞いた。

絵本「おこちゃん」は母との日常問答から生まれた。
合わせて白黒写真の誕生からのアルバムを繰って母に質問した。
そんなエピソードの数々を使って、子供の頃の日常を描いた。
ただし、見開きページに描く絵と言葉が一体感をもち、肉声のような体温を伝えたいと思った。
それで歌いながら読んでほしいと、言葉にリズムをもたせることにした。
だから、満3歳から習った童謡の曲を下敷きにしたのだった。
子供だった人が皆知っている曲を思い出して
「ぞうさん」(まど・みちお 作詞 / 團伊玖磨 作曲)に重ねて言葉をつむいでいった。

まずは、おこちゃんの顔の説明からはじめたのだけど、
かあさん、とうさん、そして家族の顔を思いうかべると、
皆どこか似ていて性格と共通する点の多いことに驚いて、
ファミリーを思い出すと必ず「びっくり ひっくりかえるエピソード」を書きとめていった。
ひとつひとつのエピソードはおこちゃんとファミリーの合作だ。
大家族で暮らしていた大阪堺市の海のそばの一軒家での出来事だった。

Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Others】読売新聞 夕刊 「たしなみ」挿画

September 15.2020

2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。

2020年9月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、恩田侑布子さん(俳人)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。


©Yoko Yamamoto

読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2020年9月15日のテーマは「電球マナー」星野博美さんです。

Category: Others
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜おこちゃん〜

September 10.2020


『おこちゃん』
著者:山本容子
本体価格:1,460円(税別)
小学館 1996年発行
詳細はこちら


はじめに


「おこちゃん」(小学館 1996年)は、私の子供時代の本当のお話を絵本にしたものです。
昭和30年代はじめの頃のこと。連載3回目はこの本をとりあげます。
withコロナの時代、当初は驚いてばかりいました。
恐怖も味わいながら、少しずつ生活が変化しています。
そんな中、子供時代を思い出す機会が増えていることに気がつきました。
大家族に教えてもらった知恵を頼りにしている自分を再発見しています。
絵と共に生きる勇気を与えてくれる驚きを見つけましょう。

はじめに、「子ども力がいっぱい」(光村図書 2008年)
—河合隼雄が聞く、あなたが子どもだったころ— に収録されている
私へのインタビュー対談から、河合さんがインタビューを終えて書いて下さった
文章の冒頭を引用させていただきます。(P.32)



驚きのない人生というのは、実につまらないと思う。
山本さんの人生は「びっくり」に満ちている。
そして、ひとつひとつのびっくりのなかに、山本さんの個性が輝いているのだ。
びっくりのなかから個性が生まれ、個性がびっくりを生み出している。


山本さんが子どものときから、これほどのびっくりを享受できたのは、
やはり家族の力が大きいと思う。大家族のもつ懐の深さと多様さが、
山本さんの生み出す「びっくり」を見事に消化してゆく。
ここで家族の容量が少しでも小さいと、びっくり児はただちに
「問題児」に転落させられることを知っていなくてはならない。


今回のおこちゃんの連載は毎週木曜日にUPする予定です。
そろそろ外出仕事もふえてきました。
展覧会や講演会、学校や会議、そしてコンサートなどで
お目にかかれる機会が戻ってきました。
withコロナは忘れずに、でも会った時は元気にあいさつしましょうね。
山本容子

Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜チューリップ畑をつまさきで〜

September 06.2020


15 『森の合唱』


©️Yoko Yamamoto


「チューリップ畑をつまさきで」
この言葉と音楽から発想した物語もおしまい。
森の合唱のために、久し振りにピアノの前に座り、
"Tiptoe through the tulips with me"
の楽譜を見ながら音を出してゆきました。
そしてはじめて訳詞をしました。
この絵本を閉じる前に、鼻歌を歌ってほしいと願って。
そんな少女がどこかにいると信じて。
声はこだまになって、山のむこうまでひろがってゆくことでしょう。

Category: Gallery
Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜チューリップ畑をつまさきで〜

September 03.2020


14 『チューリップの秘密』


©️Yoko Yamamoto


カオリとバナナは感動しました。
「森のチューリップが歩けるのは、わたしたちが砂漠を旅したチューリップの
ラーレとシンシアの子孫だったからなのね」
「王様がラーレをみて、しあわせな気持ちになったように、
たっぷりの愛をうけて元気に育ったキューコンは、
みんなの心をやさしくなぐさめられるチューリップになるんだわ」

森はもうすぐ春。
はやくかえって、チューリップがみんなの心をしあわせにできる秘密をはなしてあげなさい。
キューコンチョーがそっとあたまをおろしました。
カオリとバナナは森へ帰ることができます。

チューリップが歩けるとは植物の分布図が変化することなのですが、
悠久の時間をかけて少しずつ移動していると想像すると楽しいイメージになりました。

Category: Gallery
Posted by: lucas
«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 21 | 22 | 23 |...| 111 | 112 | 113 || Next»



page top

Copyright©2007 Office Lucas All Rights Reserved.